✔ 学習ポイント
尺度水準は、データの性質によって「質的変数」と「量的変数」に分類されます。
質的変数は、区別のための「名義尺度」と順序を表す「順序尺度」に分かれ、量的変数は、等間隔性を持つ「間隔尺度」と絶対原点を持つ「比率尺度」に分かれます。
心理学のリッカート法では、選択式の質問でデータを収集し、それを間隔尺度とみなすことで分析を行っています。
質的変数と量的変数の違いを、それぞれどのような目的で使われるかという観点から説明してください。また、それぞれの具体例を一つずつ挙げてください。
質的変数は、データの分類を目的としており、数値は単なるラベルとして扱われます。例えば、性別や郵便番号がこれに該当します。
一方、量的変数は、データの計量を目的としており、数値自体に意味があります。例えば、身長や体重がこれに該当します。間隔尺度と比率尺度の違いを、絶対原点の有無という観点から説明してください。また、両者の計算で可能なことの違いについても説明してください。
間隔尺度は、絶対原点(ゼロ地点が「何もない状態」を意味しない)が存在しない尺度水準です。そのため、足し算や引き算は可能ですが、掛け算や割り算は意味をなしません。
例えば、温度や西暦がこれに該当します。一方、比率尺度は、絶対原点が存在する尺度水準です。このため、四則演算すべてが可能であり、比率を計算することもできます。例えば、長さや重さがこれに該当します。心理学では、リッカート法で収集した心のデータをどのように分析していますか? その際の「仮定」と「注意点」について触れながら説明してください。
リッカート法で得られたデータは厳密には順序尺度ですが、統計分析を容易にするため、間隔尺度であると仮定して扱います。
これにより、平均値や標準偏差などを計算し、データを分析できるようになります。ただし、この仮定は常に正しいわけではないため、結果を解釈する際は過信せず、慎重に行う必要があります。
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尺度水準とは
統計を行う上で、必ず理解すべき概念の1つに「尺度水準」があります。尺度水準がわからなければ、研究テーマに対して「どのようなデータを集めればよいか、どの分析手法を使えばよいか」を考えることすらできないほどに重要な概念です。
さて、尺度水準とは、数値データに関する考え方で「名義尺度、順序尺度、間隔尺度、比率尺度」の4つに分類することができます。
尺度水準によって使用可能な分析手法が異なり、また、変数を別の新しい変数に変換するときにもその違いが影響します。そのため、尺度水準がわからない状態で統計を行うと、「導き出した結果が何一つ正しくない」という事態が生じかねません。
ということで今回は、統計を行う上では避けて通ることのできない「尺度水準」と、それを包括する概念「量的変数」と「質的変数」をそれぞれ確認していきましょう。
事前知識:定数と変数
データは、既定の値を示す定数と、変動する値である変数に分類されます。
例えば、円周率(π = 3.14)は普遍の定理であり、その値が変わることはないため「定数」に分類されます。一方、体重や身長などは計測するタイミングによって変動するため「変数」に分類されます。
質的変数と量的変数
「質的変数」と「量的変数」とは、特定のデータが数値としての意味を持つかどうかを表す概念です。
「質的変数」は数値として表す必要がないデータのことで、分類を目的としています。一方、「量的変数」は数値として得られるデータのことで、計量を目的としています。質的変数にも数値が用いられる場合がありますが、それはあくまでもラベルとして役割であり、数値データとしても意味をもつことはありません。

もし、データの数値が質的変数か量的変数か判断に迷ったときは、「平均値が集団のデータの特徴をうまく表現できるか」を考えると理解しやすいのでおすすめです。
例えば、次のような2つの例を考えてみましょう。
- 5人の身長[150cm, 155cm, 160cm, 165cm, 170cm]
- 5人の属するクラス[1組, 2組, 3組, 4組, 5組]
この場合、「5人の身長」のデータは量的変数に該当し、「5人の属するクラス」のデータは質的変数に該当します。
身長は「平均身長 = 160cm」を求めることでデータの特徴が掴めるため、平均値に意味がある量的変数だと考えられます。
一方、クラスは「平均クラス = 2.5組」を求めても、その平均値がデータの特徴を表現しているとは言えません。このことから、クラスは質的変数だと考えられます。クラスにおける数値はただのラベルとしての意味しかなく、「A組〜E組(数値以外)」でも問題ないのです。
このように「平均値が集団のデータの特徴をうまく表現できるか」という観点を適応して考えることで、データがどちらの変数に分類されるかを簡単に見分けることができます。これは「量的変数と質的変数が等間隔性の有無によって区別」されていることが理由ですが、詳しくは順序尺度の項で取り扱います。
これから扱う4つの尺度水準「名義尺度、順序尺度、間隔尺度、比率尺度」は、量的変数か質的変数どちらかに分類されます。それぞれの尺度がどちらに分類されるかを意識してデータを扱うことで、適切な分析手法を採用できるようになりましょう。
名義尺度
名義尺度とは、対象を区別するための値を割り当てたデータです。

名義尺度は数値としての意味を持たないため、数値でも、文字列データでも問題ありません。例えば、性別を「男:150人、女:200人」と表しても、「1:150人、2:200人」と表しても、データの区別さえできていれば問題ないのです。
当然ながら、名義尺度にはデータの等間隔性が存在しないため、質的変数に分類されます。
名義尺度の例
- 性別
- 職業
- 背番号
- 郵便番号
順序尺度
順序尺度とは、名義尺度の性質に加え、対象の量の大小や強弱などの順序関係を区別するデータです。
計算可能な数値としては意味を持ちませんが、データの分類に加えて大小関係を表すことが可能です。例えば、テストの順位は「1位、2位、3位」のように表すことができます。

1位の人は2位の人より点数が高いですが、1位と2位の間に2倍の点数差があることを意味していません。同じく、2位と3位の間に1.5倍の点数差はあることを意味していません。また、1位と2位との点数差と、2位と3位との点数差が同じとは限りません。
つまり、順位などの順序尺度には等間隔性がないため、質的変数に分類されます。
順序尺度の例
- 順位
- 満足度
- 学業成績
間隔尺度
間隔尺度とは、順序尺度の性質に加え、2つの対象に付与された数値間の間隔が等しいデータです。
これまでの尺度水準とは異なり、等間隔性が存在していることから量的変数に分類されます。このことから、大小関係を表すことに加えて、足し算や引き算の計算が可能になります。

例えば、温度は「0℃、50℃、100℃」のように表すことが可能であり、50℃と100℃の差は「100-50=50」で50℃であると言えます。0℃と50℃の差も同じく「50-0=50」で50℃であると言えますね。
一見当たり前のことのようにも思えますが、これは順序尺度との違いを理解するうえで非常に重要です。
例えば、順序尺度における50位と100位の差を考えてみます。「100-50=50」だから50位の差がある、と言えるような気もしますが、実はそうではありません。「どうして?」と思った方にはぜひ考えていただきたいのですが、「50位の差」とは一体何を表しているのでしょうか。
50位の差というのは、特定の順位までに50個のデータがあることを示すだけで、その差の大きさを示すものではありません。
例えば、以下の順位と点数のデータを考えてみましょう。
- 1位:100点
- 50位:80点
- 51位:75点
- 100位:50点
このデータでの1位と51位の差は25点ですが、50位と100位の差は30点です。同じ50位の差ですが、その差の大きさは異なっていることが分かりますよね。
一方、温度は1℃と51℃の差と、50℃と100℃の差は同じ50℃です。この等しい差があるおかげで、間隔尺度ではデータの大小だけでなく、その差の違いまで比較することが可能になるのです。
間隔尺度の注意点:絶対原点(0)がない
間隔尺度は、量的変数として数値としての計算ができるようになりましたが、実は掛け算や割り算はまだ利用できません。掛け算や割り算は、何もない状態を示す基準点である「絶対原点」が必要だからです。
先ほどの温度の例で「0℃」という値が出てきましたが、これは絶対原点ではありません。なぜなら、0℃は温度がないことを示すわけではないためです。温度の最下限は絶対零度である「-273℃」であるため、0℃はあくまでも、日常に馴染みやすい温度として設定されているに過ぎません。
50℃と100℃の差は2倍ですが、これはあくまでも基準を0℃と考えた時の場合です。基準を絶対零度である-273℃にした場合、50℃と100℃の差は「(100+273)÷(50+273)=1.15」となり、1.15倍の温度差と言えます。
このように間隔尺度は何もない状態を示すものがないため、どこを基準とするかによって掛け算や割り算の値が異なってしまうのです。
ちなみに、温度は絶対零度(-273℃)を絶対原点とすることで、掛け算や割り算が可能な比率尺度とみなすことができます。
間隔尺度の例
- 温度
- 西暦年号
比率尺度
比率尺度とは、間隔尺度の性質に加え、何もない状態を示す「絶対原点」が存在するデータです。
足し算や引き算だけでなく、掛け算や割り算の計算も可能になり、統計処理に最も適した尺度水準です。

例えば、重量は「50kg、100kg、200kg」のように表せ、50kgと100kgの差は2倍、100kgと200kgの差も2倍、50kgと200kgの差は4倍、と比率も表すことが可能です。これは「0kg」を重さがない状態、つまり、絶対原点として定義できるためです。
比率尺度の例
- 重量
- 長さ
- 音の大きさ
尺度水準のまとめ
変数は等間隔性の有無によって「質的変数」または「量的変数」に分類可能です。まずは大きな区別として、こちらを意識できるようにしましょう。
質的変数は、大小関係を表せるかによって「名義尺度」または「順序尺度」に分類可能です。しかし、これらのデータには四則演算を1つも利用することができません。
量的変数は絶対原点の有無によって「間隔尺度」または「比率尺度」に分類可能です。間隔尺度は足し算と引き算のみを利用でき、比率尺度は絶対原点を持つおかげで四則演算全てを利用することができます。
リッカート法と尺度水準
心理学のデータ収集には「リッカート法」という方法が頻繁に用いられます。リッカート法とは、評価に対してそれぞれ得点を割り振ることで、評価を数量化する方法のことです。
質問:尺度水準について理解した
- 当てはまらない
- あまり当てはまらない
- どちらでもない
- やや当てはまる
- 当てはまる
上記のような選択肢で「当てはまらない」を選べば1点、「当てはまる」を選べば5点というように、評価を数量化します。
リッカート法は等間隔性を確保できないため順序尺度に該当します。これまで見てきた通り、順序尺度では統計処理が不可能だったはずです。では、心理学では収集したデータをどのように取り扱っているのでしょうか。
実は心理学では便宜上、それぞれの選択肢が等間隔である間隔尺度と仮定したうえで統計処理を行います。そのため、リッカート法を用いて収集したデータに対する過信は禁物であり、選択肢もなるべく等間隔になるよう表現に気をつけなければいけません。
このような工夫のもと、心理学は目に見えない「心」を明らかにしていくのです。
問題
質的変数と量的変数の違いを、それぞれどのような目的で使われるかという観点から説明してください。また、それぞれの具体例を一つずつ挙げてください。
質的変数は、データの分類を目的としており、数値は単なるラベルとして扱われます。例えば、性別や郵便番号がこれに該当します。
一方、量的変数は、データの計量を目的としており、数値自体に意味があります。例えば、身長や体重がこれに該当します。間隔尺度と比率尺度の違いを、絶対原点の有無という観点から説明してください。また、両者の計算で可能なことの違いについても説明してください。
間隔尺度は、絶対原点(ゼロ地点が「何もない状態」を意味しない)が存在しない尺度水準です。そのため、足し算や引き算は可能ですが、掛け算や割り算は意味をなしません。
例えば、温度や西暦がこれに該当します。一方、比率尺度は、絶対原点が存在する尺度水準です。このため、四則演算すべてが可能であり、比率を計算することもできます。例えば、長さや重さがこれに該当します。心理学では、リッカート法で収集した心のデータをどのように分析していますか? その際の「仮定」と「注意点」について触れながら説明してください。
リッカート法で得られたデータは厳密には順序尺度ですが、統計分析を容易にするため、間隔尺度であると仮定して扱います。
これにより、平均値や標準偏差などを計算し、データを分析できるようになります。ただし、この仮定は常に正しいわけではないため、結果を解釈する際は過信せず、慎重に行う必要があります。
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