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心理学とは

✔ 学習ポイント

心理学は、客観的データに基づき、意識や行動を含む人の心を科学的に探求する学問です。
経験に基づいた一般的な心の理解である「素朴心理学」や、主観で心を探求する「哲学」とは異なり、生理学的指標や統計調査などの科学的手法を用いる点が特徴です。

  1. 心理学では「主観的なデータ」と「客観的なデータ」のどちらを重要視する?

    「客観的なデータ」を重要視。
    心理学では、生理学的指標や統計調査を用いることで目に見えない「こころ」を明らかにしようとします。ただし、研究の内容によっては主観的なデータも重要視されます。

  2. 素朴心理学とはなにか?

    人の心の意図、感情、性格などについての常識的な理解。
    「心理学」という名前は入っているが、扱っているデータが主観的なため、学問的な心理学とは異なる。

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心理学とは

心理学を一言で表すならば、客観的なデータを用いて人の心を科学的に探求していく学問です。ここで言う「心」とは、意識(原因)や行動(結果)を含むものであり、「科学的に」とは生理学的な指標や統計調査などを用いた手法が一例として挙げられます。とはいっても、初めて心理学を学ぶ方にはイメージがつきにくいと思いますので、実際の研究テーマを2つほど例にあげて説明しますね。

¥1,980 の不思議

1つ目は、物の値段に関する心理学です。お店で何か商品を買うとき、「¥980」や「¥1,980」といった価格設定を目にすることが多いのではないでしょうか。千円札で支払おうとすると少しお釣りがでてしまうような、中途半端な価格設定です。しかし、この価格設定は、その商品がなんとなくお買い得に感じてしまうような重要な役割を果たしているのです。

消費者は「¥1,980」という価格を目にしたとき、「千円台である」という無意識的な印象を持ってしまいます。この価格設定は、一番左の数値が「1」であるため千円の大台をあまり意識させません。そして、本来はほぼ¥2,000であるにも関わらず、消費者が最初に感じた印象が「千円」であるため、なんとなく買いやすい価格だと知覚してしまいます。

「¥1,980 の不思議」の解説・学習補助画像

このような「最初の印象(評価)が後の意思決定に影響すること」を心理学では「アンカリング効果」と呼び、マーケティングにおいて広く活用されています。ちなみに、実際にこの効果の存在を調べたい場合は、同じ商品を「¥2,000」と「¥1980」で販売(隣に並べることはせず、別店舗や別日で実施)してみて購買率(客観的指標)を比較(t検定などの統計分析)することで明らかにできます。

梅干しを見ただけで口が酸っぱく?

「梅干しを見ただけで口が酸っぱく?」の解説・学習補助画像

2つ目は、人の生理機能に関する心理学です。テレビやネットなどで、梅干しやレモンのような酸っぱい食べ物の画像・映像を見たとき、実際に食べたわけではないのに口が酸っぱく感じた経験はないでしょうか。これは、唾液が分泌されるためにそう感じるのですが、なぜそのような現象が生じるのか、心理学的な観点から説明が可能です。

前提として、酸っぱいものを食べると唾液が分泌されるのは、口腔内の酸性度を中和しようとする生理機能が働くためです。つまり、「酸っぱいものを見る→それを食べる」という行為のあとには、必ず「唾液が分泌される」という反応が生じることになります。そして、その反応を何度も繰り返すと、「見る→食べる→唾液の分泌」という一連の流れを脳は無意識のうちに覚えていきます。すると、実際に酸っぱいもの食べるわけではなくても、それをただ見ただけで、脳は唾液を分泌して口腔内の酸性度を中和する準備を始めてしまうのです。

このような「特定の条件と特定の反応が紐づくこと」を心理学では「古典的条件づけ」と呼び、学習の基本的な理論として知られています。実際にこの反応の存在を調べたい場合は、通常時の唾液分泌量(客観的指標)と、酸っぱい画像を見せた時の量を比較することで明らかにできます。

以上、2つの例を取り上げてみましたが、「心」と「科学的」のイメージは掴んでもらえたでしょうか。他にもいろいろな研究があるので、ぜひご自身で探してみてください!

知っておくとさらに面白い

人は「人の心の意図、感情、性格」などについて常識的な理解をもっています。このような、人間が持つ一般的な心の理解で、経験に基づくものを「素朴心理学」といいます。これらは必ずしも首尾一貫したものではなく、また、科学的に誤った内容が含まれる場合もあります。しかし、社会生活を過ごすうえでは有効に機能している側面が大きいです。

例えば、「男の子はかっこいいものが好き」という理解は全ての男の子に当てはまるわけではありませんが、誕生日のプレゼントなどを選ぶ場面では何も知らない状態より、スムーズな決断ができるでしょう。こういった理解は科学的ではないため「心理学」とはまた別物になりますが、人々が生活するうえでの「心の理解」の重要性を感じられるのではないでしょうか。

ちなみに、「心を探求する」心理学は「哲学」と似たような分野では? と思う方もいるかも知れません。こちらも素朴心理学と同様に「客観的か、主観的か」、つまり「科学的であるか」によって明確に区別されます。

問題

  1. 心理学では「主観的なデータ」と「客観的なデータ」のどちらを重要視する?

    「客観的なデータ」を重要視。
    心理学では、生理学的指標や統計調査を用いることで目に見えない「こころ」を明らかにしようとします。ただし、研究の内容によっては主観的なデータも重要視されます。

  2. 素朴心理学とはなにか?

    人の心の意図、感情、性格などについての常識的な理解。
    「心理学」という名前は入っているが、扱っているデータが主観的なため、学問的な心理学とは異なる。

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心理学入門・概論

#初学者向け

記事:下町直輝

更新日:2025-06-07

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  • 心理学

    「心」や「行動」を科学的な手法で研究する学問。 統計学や生理学的指標など、客観的なデータに基づくことが特徴。

  • t検定

    2群の平均値に統計的な差があるか検定。偶然の差でないか確認する際に用いる。

  • アンカリング効果(係留効果)

    最初に提示された情報(アンカー)に、後の判断が影響される心理現象。

  • 古典的条件づけ

    本来無関係な刺激と生得的な反応を結びつける学習。パブロフの犬の唾液分泌実験が有名。レスポンデント条件づけとも呼ばれる。

  • 素朴心理学

    専門知識なしに、人が日常的に持つ心の理解。経験に基づき、主観的で必ずしも正確ではない。