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心理的アセスメント

✔ 学習ポイント

心理的アセスメントは、クライエントの情報を生物・心理・社会的側面から多角的に評価することです。問題の正確な把握と、クライエント自身の内的なリソースを含む解決策を見出すために重要です。
ケースフォーミュレーションでは、問題の原因や推移を多角的に検討し、クライエントとの協働を通じて支援目標・方法を個別化。仮説と効果を検証し修正することで、最適な支援を目指します。

  1. 心理的アセスメントにおいて「多角的な評価」が必要かつ重要である理由を具体的に説明してください。

    【回答例】
    一つの視点だけでは問題を正しく捉えられない可能性があるため。例えば、本来医学的原因があるのに心理的問題と判断すれば、適切な治療に繋がりません。
    問題を解決するために利用可能なリソースを多く見つけることができるため。クライエント自身の趣味など内的な資質も、問題解決に役立つリソースとして活用できるため、それらを見出すことが重要とされています。

  2. 心理的アセスメントで収集される情報源として、「面接」「医学的情報」「心理検査」の主な特徴をそれぞれどのような情報が得られやすいかという点に触れて説明してください。

    【回答例】
    「面接」はクライエントから広範な主観的情報を収集でき、心理・社会的側面を深く探ることが可能です。ただし、数量化しにくい側面があります。
    「医学的情報」はカルテや医師からの客観的かつ専門的な情報であり、身体状態や病歴といった生物的側面に関する重要な知見が得られやすいです。
    「心理検査」は限定的な範囲において、客観的かつ標準化された形で、個人の心理的特性(認知、感情、性格傾向など)に関する情報が得られやすいです。

  3. ケースフォーミュレーションが「問題の評価や病気の診断のみを目的としない」のはなぜですか。ケースフォーミュレーションの目的と、行う際の具体的なポイントを挙げて説明してください。

    【回答例】
    問題の発生・維持要因や推移を多角的に検討し、「支援の目標や方法を見出すための枠組み」を得ることが真の目的であるため。
    「クライエントとの共同作業を重視すること」で、クライエント自身の経験や意向を尊重し、個別化された理解と主体的な取り組みを促します。「仮説や支援効果の検証と修正を継続的に行うこと」で、フィードバックに基づき柔軟に計画を見直し、常に最善の支援を目指します。

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心理的アセスメントとは

心理的アセスメントとは、クライエントに対して多角的な情報収集を行ったうえでの包括的な状況評価を指します。「多角的」というと少し抽象的なため、具体的なもので考えてみましょう。例えば、医学的観点や心理的観点などの異なる側面から、また、その中でも良い面や改善すべき面などの異なる角度からクライエントを評価すること、と理解してみてください。

では、多角的な評価が必要かつ重要な理由は一体なんなのでしょうか。以下、2つの項目に分けて考えてみます。

まず1つ目は、一つの視点からでは問題を正しく捉えられない可能性があることです。専門職だからといって、自分の専門の分野だけでクライエントの問題を判断すると誤った結論を導き出してしまう可能性が高いです。例えば、本来は医学的な面(病気や遺伝)が原因にも関わらず、心理的な面に原因があると判断し、心理療法を行っていたとしたら、それは効果的とは言えません。クライエントへの適切な理解、また、治療のためには、「生物・心理・社会モデル」に代表されるように異なった側面から問題を捉えることが重要といえます。

臨床心理学が対象とする問題について、以下の表を一例として引用します(心理学, 新曜社)。

「心理的アセスメントとは」の解説・学習補助画像

ちなみに、情報の収集方法としては「面接・行動観察・生活歴・医学的情報・心理検査」などが考えられます。得られる情報にはそれぞれ特徴があるので、その違いについて知っておくことも重要です。

「心理的アセスメントとは」の解説・学習補助画像

そして2つ目は、見つかった問題を解決するために利用可能なリソースを多く見つけることができることです。クライエントが抱える問題の原因が見つかったとき、その治療のために活用できるのは専門職の知識や知恵、治療薬などの外部のリソースだけではありません。クライエント自身にも、自身の力で問題を解決していくための資質、内的なリソースがあると考えられます。例えば、「ストレスでうつ状態になっている人が、趣味に没頭している間は少しポジティブになれる」場合、その趣味はうつ状態を改善するためのリソースとして利用可能です。趣味に費やす時間を増やしたり、趣味の範囲を広げたりすることが、うつ状態の改善に繋がると考えられます。

このように、心理的アセスメントはクライエントの抱える問題を明らかにし、適切で効果的な治療につなげるために重要な役割を果たします。

ケースフォーミュレーション

ケースフォーミュレーションとは事例定式化(事例概念化)のことで、クライエントが抱えている問題に対し、その発生や維持の原因、推移を様々な角度から検討し、支援の目標や方法を見出すことを指します。つまり、「問題の評価や病気の診断のみを目的」とするのではなく、問題がいつ生じ、どのように変化し、なぜ現在も続いているのかを明らかにすることで「支援の方法を見出すための枠組み」を得ようとします。単一的な評価ではなく、つながりを重視した評価とも言えるでしょう。

ケースフォーミュレーションを行う際のポイントとしては、「クライエントとの共同作業を重視すること」、また、「ケースフォーミュレーションにおける仮説や支援効果について検証して修正を加えること」が挙げられます。

まず前者について、セラピストは専門知識を提供しつつ、クライエントの経験や感情を尊重し協働することが必要です。クライエント自身の捉え方を丁寧に聴き取り、積極的に過程に参加してもらうことで、そのクライエントや問題を個別化して理解可能になるためです。そのような取り組みを経ることで信頼関係を築き、目標設定もクライエントの意向を反映させることで、主体的な取り組みを促すことができるでしょう。

一方、仮説や支援効果の検証と修正は継続的なプロセスです。初期仮説が合わない場合や支援効果が不十分な場合に備え、クライエントからのフィードバックや客観的評価を活用し、仮説や支援計画を柔軟に見直します。常に最善の支援を目指し、必要に応じて修正を重ねていくことが重要です。

適切な支援のために

心理支援においては、「生物・心理・社会モデル」のような多角的視点からクライエントをアセスメントし、そのクライエントだからこその問題、支援法を見つけていくことが重要です。

外見上の問題や症状が同じであったとしても、それを解決に導くための支援法まで同じとは限りません。クライエントの問題を個別に理解し、その人にあった支援法を検討する姿勢を心がけたいですね。

問題

  1. 心理的アセスメントにおいて「多角的な評価」が必要かつ重要である理由を具体的に説明してください。

    【回答例】
    一つの視点だけでは問題を正しく捉えられない可能性があるため。例えば、本来医学的原因があるのに心理的問題と判断すれば、適切な治療に繋がりません。
    問題を解決するために利用可能なリソースを多く見つけることができるため。クライエント自身の趣味など内的な資質も、問題解決に役立つリソースとして活用できるため、それらを見出すことが重要とされています。

  2. 心理的アセスメントで収集される情報源として、「面接」「医学的情報」「心理検査」の主な特徴をそれぞれどのような情報が得られやすいかという点に触れて説明してください。

    【回答例】
    「面接」はクライエントから広範な主観的情報を収集でき、心理・社会的側面を深く探ることが可能です。ただし、数量化しにくい側面があります。
    「医学的情報」はカルテや医師からの客観的かつ専門的な情報であり、身体状態や病歴といった生物的側面に関する重要な知見が得られやすいです。
    「心理検査」は限定的な範囲において、客観的かつ標準化された形で、個人の心理的特性(認知、感情、性格傾向など)に関する情報が得られやすいです。

  3. ケースフォーミュレーションが「問題の評価や病気の診断のみを目的としない」のはなぜですか。ケースフォーミュレーションの目的と、行う際の具体的なポイントを挙げて説明してください。

    【回答例】
    問題の発生・維持要因や推移を多角的に検討し、「支援の目標や方法を見出すための枠組み」を得ることが真の目的であるため。
    「クライエントとの共同作業を重視すること」で、クライエント自身の経験や意向を尊重し、個別化された理解と主体的な取り組みを促します。「仮説や支援効果の検証と修正を継続的に行うこと」で、フィードバックに基づき柔軟に計画を見直し、常に最善の支援を目指します。

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臨床心理学概論

記事:下町直輝

更新日:2025-06-10

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  • 心理的アセスメント

    クライエントの心理状態や問題を、面接や心理検査などを用いて多角的に評価し、包括的に理解するプロセス。適切な支援の計画および実施をするために必要不可欠。

  • 生物・心理・社会モデル

    カルテや医師からの医学的所見(生物)、面接や行動観察、心理検査から得るパーソナリティ情報(心理)、家庭や職場などの環境情報(社会)からクライエントを包括的に理解しようとする考え方。

  • ケースフォーミュレーション

    事例定式化のこと。多角的な視点からクライエントの問題を把握し、問題が「いつ生じたか」「どのように変化しているか」「なぜ現在も続いているか」を明らかにする手段。支援の方法を見出すための枠組みを得るために行われる。