✔ 学習ポイント
生物・心理・社会モデルは、個々の発達や身体・精神的健康に影響する要因を多角的に理解する枠組みです。
遺伝や脳機能といった生物的側面、性格傾向や認知などの心理的側面、そして家族関係や経済状況といった社会的側面の三要素が複合的に影響し合う考え方です。心理臨床の場面では、限られた側面で問題を捉えずに、多角的にクライエントの全体像を捉えることが重要になります。
生物・心理・社会モデルが提唱する3つの側面は、それぞれどのような要因を検討するか簡潔に説明してください。
生物的側面では遺伝や脳機能、神経伝達物質など身体的な要因を検討します。
心理的側面では個人の性格傾向、認知、感情制御、ストレス対処能力といった内面的な要因を検討します。
社会的側面では家族関係、友人からのサポート、経済状況、文化、職場環境など、個人を取り巻く外部環境要因を検討します。生物・心理・社会モデルの観点からうつ病を捉えるとき、どのような要因が考えられるでしょうか。それぞれの側面について具体的に説明してください。
【回答例】生物的側面では脳内神経伝達物質の乱れ(セロトニン、ノルアドレナリンなど)や遺伝的要因が考えられます。心理的側面からは、ネガティブな思考パターンやストレス対処能力の低さ、トラウマなどが考えられます。さらに社会的側面では、孤立、人間関係のトラブル、経済的困難、職場ストレスなどが要因として考えられます。
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生物・心理・社会モデルとは
生物・心理・社会モデルとは、個々の発達や身体・精神的健康に影響する様々な要因を生物的側面、心理的側面、社会的側面の3つの側面から検討する考え方です。このモデルを用いることで、ある一つの問題や現象に対して、遺伝的な要因から個人の心理的な特性、そして社会的な環境まで、多角的な視点から理解を深めることが可能になります。
ではさっそく、以下にそれぞれの具体的な内容を見ていきましょう。
生物的側面
生物的側面の検討では、遺伝や脳機能、神経伝達物質の働き、ホルモンバランス、免疫システムなどが、要因としてあげられます。
心理的側面
心理的側面の検討では、個人の内面的な要因に焦点を当てます。性格傾向や認知の歪み(ネガティブな思考パターンなど)、感情の制御能力、行動様式、ストレスへの対処能力といった心理的な特性が要因としてあげられます。
社会的側面
社会的側面の検討では、個人を取り巻く外部環境に目を向けます。家族関係や友人や地域社会からのサポート、経済状況、教育環境、文化的な背景、職場の環境などが具体的な要因としてあげられます。

うつ病を生物・心理・社会モデルで捉えてみる
では実際に、生物・心理・社会モデルの観点からうつ病を捉えてみましょう。
まず、生物的側面からうつ病について考えられることは、脳内の神経伝達物質の乱れや遺伝的要因があげられます。例えば、気分や情動を調節するセロトニンや、緊張やストレス反応に関係するノルアドレナリンの機能が低下している可能性があります。実際、うつ病の治療では心理療法だけでなく、「選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)」などを用いた薬物療法が実施されています。
次に、心理的側面ではどうでしょうか。この側面からは、ストレスやトラウマ、ネガティブな思考パターン(自動思考) の影響を考えることができます。例えば、ストレッサー(ストレスを引き起こす要因)が生じたとき、体内では自律神経系や内分泌系の変化が生じますが、その持続の程度は個人で異なります。そして、このような通常とは異なる生理的状態(神経伝達物質のバランスが崩れた状態など)が長期にわたると、脳機能に悪影響を及ぼしやすくなり、うつ病のリスクを高める可能性があります。
ストレスへの対処能力が高い人(物事をポジティブに捉える、切り替えが上手)は、さきほどの変化を小さく抑えることができますが、物事をネガティブに考えやすい人はストレスと体内の変化が持続してしまいがちです。そのような場合は心理療法を用いて、ネガティブな思考パターンを改善することが有効である可能性が高いと考えられますね。
最後に、社会的側面を見ていきます。前述の心理的側面ではストレスの対処について検討しましたが、社会的側面ではストレス対処時に利用できるリソースや、ストレッサーについて考えてみましょう。例えば、なにかストレスがかかる状況に陥ったとき、家族や友人などの頼れる人がいる場合と、誰もいない場合ではストレスの具合は全く異なると考えられますね。この場合は社会的なサポートを増やすことでうつ病を予防したり、改善したりすることが可能だと言えます。
また、うつ病に影響するストレッサーとしては、職場の人間関係や自身の経済状況が考えられます。常日頃から小さな不安や不満を抱えていると、体内や脳に悪影響を及ぼす原因にもなりかねません。それを防ぐためには、休職や金銭的援助なども支援法の1つとして考えることができるでしょう。
と、このようにうつ病を生物・心理・社会モデルから試しに捉えてみましたが、上記はあくまで一例です。クライエントごとに抱えている問題や状況は全く異なっています。このモデルで重要なことは、「限られた側面で問題を捉えずに、多角的にクライエントの全体像を捉える」ことです。
ついつい自身の専門から考えようとしてしまうかもしれませんが、正しいアセスメントのためにも気をつけたいポイントですね。
問題
生物・心理・社会モデルが提唱する3つの側面は、それぞれどのような要因を検討するか簡潔に説明してください。
生物的側面では遺伝や脳機能、神経伝達物質など身体的な要因を検討します。
心理的側面では個人の性格傾向、認知、感情制御、ストレス対処能力といった内面的な要因を検討します。
社会的側面では家族関係、友人からのサポート、経済状況、文化、職場環境など、個人を取り巻く外部環境要因を検討します。生物・心理・社会モデルの観点からうつ病を捉えるとき、どのような要因が考えられるでしょうか。それぞれの側面について具体的に説明してください。
【回答例】生物的側面では脳内神経伝達物質の乱れ(セロトニン、ノルアドレナリンなど)や遺伝的要因が考えられます。心理的側面からは、ネガティブな思考パターンやストレス対処能力の低さ、トラウマなどが考えられます。さらに社会的側面では、孤立、人間関係のトラブル、経済的困難、職場ストレスなどが要因として考えられます。
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