✔ 学習ポイント
臨床心理学は、心理学の知見を人間の成長や問題解決に活かす学問です。
1896年にウィトマーが初の心理クリニックを開設し、精神分析の確立や第二次世界大戦での心理支援を通じて発展しました。日本でも臨床心理士や公認心理師といった資格が誕生し、現代のメンタルヘルス支援においてその価値は高まっています。
臨床心理学を簡潔に定義すると?
心理学の知見を人間の営みに役立てようとする学問。
人々の行動適応や成長を促進し、心理的な不適応や苦悩の軽減・解消を目指します。医療分野に留まらず、教育や福祉など多岐にわたる分野で心理的援助を行います。「臨床心理学の父」と呼ばれる人物とその理由は?
「臨床心理学の父」はウィトマーです。彼は1896年に世界初の心理クリニックを開設し、この分野に「臨床心理学」という言葉を命名するなど、その後の発展に大きく貢献しました。
第二次世界大戦は、臨床心理学の発展にどのような影響を与えたと考えられる?
第二次世界大戦は、臨床心理学の発展に非常に大きな影響を与えました。
戦争によって多くの兵士が心的外傷(PTSDなど)を負い、その治療のためにメンタルヘルスの専門家が大量に必要とされたからです。これにより、心理学的な支援の重要性が認識され、臨床心理学の分野が大きく拡大し、社会的な地位を確立するきっかけとなりました。
クリック/タップで表示(記事末尾にも設置)
臨床心理学の定義
臨床心理学を一言で表すと、「心理学の知見を人間の営みに役立てようとする学問」です。
臨床という用語は、もともと病院の病床に臨むという意味であり(英語で臨床心理学は[clinical psychology: 医療現場の心理学])、医療分野における専門的な援助や治療の実践を指していました。しかし、現在では医療分野に留まらず、教育や福祉など、さまざまな分野における心理的援助の総称として用いられています。
例えば、アメリカ心理学会(American Paychological Association; APA)第12部会では、臨床心理学を以下のように定義しています。
「科学、理論、実践を統合して、人間の行動の適応調整や人格的成長を促進し、さらには不適応、障害、苦悩の成り立ちを研究し、問題を予測し、そして問題を軽減、解消することを目指す学問」
つまり、心理学を研究・活用して、人の成長や問題を支援することを目標としているわけですね。臨床心理学は、人の心理・行動上の問題を予防、支援、治療するだけでなく、その人がその人らしく自分の資質を活かしながら、社会の一員として自己実現を成し遂げるのをサポートする学問として存在意義があると言えます。
臨床心理学のはじまり
1896年 ウィトマーによる世界初の心理クリニック開設
臨床心理学は、1896年にウィトマーが世界初の心理クリニックを開設したことから始まります。開設のきっかけは、心理的問題を抱えるクライエントに対して心理学を応用し、支援に成功したことでした。これはヴントが1879年に学問としての心理学を確立して以来、初の試みだったのです。また、ウィトマーはその10年後に発行した雑誌の巻頭論文で「臨床心理学(clinical psychology)」というタイトルを使い、臨床心理学の命名者ともなっています。
このようにウィトマーは、臨床心理学の命名に加えて、心理クリニックの開設や学習や行動の問題を持つ人への心理学的支援を行うなど、この分野の発展に大きく寄与しました。その貢献の大きさから、ウィトマーは「臨床心理学の父」とされているのも重要な情報の1つですね。

1900〜1930年 フロイトによる精神分析の確立
精神分析は現在の心理療法の基礎となるものであり、フロイトが1900年に「夢解釈」を出版したことが起点と言えます。フロイトは、人の意識や行動において、意識できない心の領域である「無意識」の存在を重視しており、それを解明するための手がかりとして「夢」を利用しました(夢判断)。
人は過去の失敗や嫌な気持ちを無意識の中に抑圧してしまい、ふとしたタイミングでそれが意識にのぼろうとすると苦痛を感じ、ヒステリーなどの問題行動を引き起こすとフロイトは考えていました。そこでフロイトは、夢に現れる内容を抑圧された欲求や感情と考え、それを意識化あるいは言語化し、制御できるようにすることで治療につなげようと試みたのです。
精神分析とは、このような「抑圧された心的なものを意識化すること」を指しています。
1942年〜 第二次世界大戦と軍人への心理的支援
この頃、第二次世界大戦が勃発したことによる退役軍人の心的外傷(PTSDなど)を治療するため、メンタルヘルスの専門家が数多く必要となっていました。そのことが臨床心理学を大きく発展させ、現在の地位を確立させる上で重要な転機となりました。
臨床心理学史における重要事項
臨床心理学の発展に関わる事項としては下記が重要なものと考えられます。
日本では、1988年に民間資格である臨床心理士資格誕生、また、2017年には国家資格である公認心理師が誕生したことは、現在のメンタルヘルスへの意識の高まりが見て取れるでしょう。時代のニーズとして臨床心理学の価値が高まっていることから、心理学を学習することへの意味も大きくなっていくはずです。
- 1896年
- ウィトマーが世界初の心理クリニックを開設
- 1900年代〜
- 精神分析
- 1920年代前後
- スコットが集団式知能検査を開発
- ウッドワースが最初の質問紙法パーソナリティ検査を作成
- 投影法 ロールシャッハ・テストなど
- 1942年〜
- 軍人の心理的支援
- 復員軍人の精神障害ヘの介入
- 社会復帰のための心理支援の重要性と発展
- 軍人の心理的支援
- 1988年 臨床心理士資格誕生
- 公益財団法人日本臨床心理士資格認定協会の民間資格
- 資格更新制度
- 5年の有効期間
- 2017年 公認心理師
- 4つの業務
- 心理に関する支援を要する者の心理状態の観察、その結果の分析
- 心理に関する支援を要する者に対する、その心理に関する相談及び助言、指導その他の援助
- 心理に関する支援を要する者の関係者に対する相談及び助言、指導その他の援助
- 心の健康に関する知識の普及を図るための教育及び情報の提供
- 4つの業務
問題
臨床心理学を簡潔に定義すると?
心理学の知見を人間の営みに役立てようとする学問。
人々の行動適応や成長を促進し、心理的な不適応や苦悩の軽減・解消を目指します。医療分野に留まらず、教育や福祉など多岐にわたる分野で心理的援助を行います。「臨床心理学の父」と呼ばれる人物とその理由は?
「臨床心理学の父」はウィトマーです。彼は1896年に世界初の心理クリニックを開設し、この分野に「臨床心理学」という言葉を命名するなど、その後の発展に大きく貢献しました。
第二次世界大戦は、臨床心理学の発展にどのような影響を与えたと考えられる?
第二次世界大戦は、臨床心理学の発展に非常に大きな影響を与えました。
戦争によって多くの兵士が心的外傷(PTSDなど)を負い、その治療のためにメンタルヘルスの専門家が大量に必要とされたからです。これにより、心理学的な支援の重要性が認識され、臨床心理学の分野が大きく拡大し、社会的な地位を確立するきっかけとなりました。
クリック/タップで解答表示
記事をお気に入りに追加






