✔ 学習ポイント
パーソナリティに関する理論は「類型論」と「特性論」が代表的です。
類型論は、パーソナリティをマクロの視点で捉え、カテゴリー分類による全体的な記述が特徴です。個人差を捉えるのには向きません。
特性論は、パーソナリティをミクロの視点で捉え、特性の数値化とその組み合わせによる細かな記述が特徴です。特性の数にもよります、全体像をイメージしにくいと言えます。
類型論について簡単に説明してください。
類型論とは、典型例との類似性に基づき、人を「どのカテゴリーに属するか」というマクロの視点(質的な違い)でパーソナリティを表す考え方です。
直感的で全体像を理解しやすい反面、個人の特性の程度や細かなニュアンスを表現できないという欠点があります。特性論について簡単に説明してください。
特性論とは、パーソナリティとしての行動傾向を示す「特性」を組み合わせ、ミクロの視点(量的な違い)でパーソナリティを数値化する考え方です。
個人のパーソナリティを比較できますが、特性が複雑になると全体的な人間像をイメージしにくくなる側面があります。
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パーソナリティを捉える「類型論」と「特性論」
パーソナリティに関する代表的な理論に「類型論」と「特性論」があります。
類型論とは、典型例と類似性に基づいてパーソナリティを表す考え方のことです。血液型性格診断が典型的な例であり、「A型の人は〇〇な性格」のような直感的なわかりやすさが特徴です。
特性論とは、特性(「友好的」など、パーソナリティとしての行動傾向)を組み合わせてパーソナリティを表す考え方のことです。「Aさんは友好的な傾向があるが、人見知りな傾向も少しある」といったように、傾向と程度の組み合わせによって柔軟に表現できることが特徴です。
類型論の特徴「質的なマクロの視点」
類型論では、パーソナリティを「質的な違い」として捉え、「どのカテゴリーに属するか」というマクロの視点で判断します。あらかじめ用意されたカテゴリーに対象者を当てはめることで、パーソナリティの単純な表現が可能です。
例えば、「Aさんは外向型だけど、Bさんは内向型」といったような表現方法です。2人のことを全く知らない人だったとしても、直感的に2人のパーソナリティを理解することができます。

日常生活においては便利な類型論ですが、実は学術的な場で用いられることは少なくなっています。というのも類型論は、直感的なわかりやすさがある一方で、パーソナリティの程度を表現できないためです。
例えば、「少し外向的な特徴がある人」も「とてつもなく外向的な特徴がある人」も、類型論では同じ「外向型」というカテゴリーに閉じ込めてしまいます。また、「外向型」というカテゴリーに属した人は、別のカテゴリーの特徴が少しあっても、それが反映されることはありません。
類型論が利用されにくい理由
パーソナリティ研究を行う上で、細かなニュアンスが捉えられないというのは大きな欠点と言えます。パーソナリティの程度を表現できる特性論が誕生してからは、現在のパーソナリティ研究において類型論が用いられることは少なくなっています。
とはいえ、カテゴリー的な考え方は脳の情報処理コストが少なくて済むため、日常的な場面では依然として存在意義のある理論だと言えます。
特性論の特徴「量的なミクロの視点」
特性論では、パーソナリティを「量的な違い」として捉え、「個々の特性がどの程度あるか」というミクロの視点で判断します。パーソナリティを構成する特性ごとに数値を測定し、その組み合わせ(プロフィール)によってパーソナリティの細かな表現が可能です。
例えば、「Aさんは外向性が5点だけど、誠実性(勤勉性)が1点。Bさんは外向性が1点だけど、誠実性が5点」といったような表現方法です。類型論で分類されたときと比較して、パーソナリティに関して得られる情報量が増えているだけでなく、数値での比較が可能になります。

とはいえ、特性論がパーソナリティの記述において万能というわけでもありません。
特性論は全体をイメージしにくい
個人差については量的に比較・理解しやすいですが、パーソナリティの全体像を記述することに関しては類型論のほうが得意だと言えるでしょう。なぜなら、特性論は特性ごとの数値を積み上げて記述するため、各特性の組み合わせ(プロフィール)が複雑になり、具体的な人間像としてイメージしにくい面があるためです。
因子分析を用いた特性の抽出
特性の数が多ければ多いほど、パーソナリティを細かく表現することができます。
例えば、パーソナリティ研究の初期にオルポートが示した特性の数は4,505語に上りました。しかし、4,505個の特性にそれぞれ点数をつけることは作業量的に現実的ではなく、つけられたとしても細かく分類されすぎて全体像を把握するのが難しいと言えます。
そこで登場するのが「因子分析」という統計手法です。因子分析は多変量解析という統計手法に属し、複数の変数間の関係性を特定し、似通った変数同士に分類することが得意です。

例えば、「誠実さ」と「勤勉さ」という特性があるとします。「誠実さ」が高い人は「勤勉さ」も高く、反対に「誠実さ」が低い人は「勤勉さ」も低いことが分かりました。このとき、「誠実さ」と「勤勉さ」は関連づいていると考えられます。そこで、わかりやすく「誠実性」として1つにまとめてしまおう、というのが因子分析のプロセスです。
ちなみに現代のパーソナリティ理論における特性は、因子分析によって5個にまで絞られています(5因子理論)。
類型論と特性論に関する諸理論
最後に類型論と特性論の代表的な理論を確認しておきましょう。
パーソナリティ理論は、歴史と共に「タイプ分け(類型論)」から「数値化(特性論)」へと進化してきました。
クレペリンの精神疾患の分類(二大内因性精神疾患)
20世紀初頭、ドイツの精神科医であったクレペリンは精神疾患を「早発性痴呆(現:統合失調症)」と「躁うつ病」の二大内因性精神疾患として分類しました。内因とは、身体の器質的疾患(外因)でも、ストレス(心因)でもない発症脆弱性(病気になりやすい性質)のことを指します。
クレッチマーの類型論(体格―性格論)
ドイツの精神科医であったクレッチマーは人の体型と性格(気質)に関する研究を行い、体格―性格論を提唱しました。
- 細長型(やせ型):分裂気質(非社交的、内気など)で、統合失調症になりやすい。
- 肥満型:循環気質(社交的、親切など)で、躁うつ病になりやすい。
- 闘士型・筋骨型:粘着気質(根気強い、几帳面など)で、”てんかん”になりやすい。
ただし、歴史的な理論であるため、現代では科学的な信頼性に乏しい理論とされています。
オルポートの特性論
アメリカの心理学者であったオルポートは、英英辞典の40万語からパーソナリティ表現を収集・整理(心理辞書的研究)し、特性語の分類を行いました。
研究で収集されたパーソナリティ表現は17,953語であり、その中で4,505語がパーソナリティの基礎となる特性として示されました。「活動的な」や「怒りっぽい」など、永続的な特徴を示すものが取り上げられており、「驚いた」や「悲しい」などの一時的な気分とは区別されます。
5因子理論(ビッグ・ファイブ理論)
5因子理論とは、「神経症傾向」「外向性」「協調性」「誠実性(勤勉性)」「開放性」の5つの特性次元で人のパーソナリティを説明しようとする考え方です。
- 神経症傾向:情動的に不安定で不安を感じやすい
- 外向性:対人的・社会的に活動的
- 協調性:他者を信頼し、協調的に振る舞う
- 誠実性:自らを律して行動し目標の遂行に史実
- 開放性:知的好奇心が高く想像力が豊か
様々な研究の知見が積み重ねられた結果、5因子理論は特性論的な立場での統一見解の1つとして扱われるようになりました。
問題
類型論について簡単に説明してください。
類型論とは、典型例との類似性に基づき、人を「どのカテゴリーに属するか」というマクロの視点(質的な違い)でパーソナリティを表す考え方です。
直感的で全体像を理解しやすい反面、個人の特性の程度や細かなニュアンスを表現できないという欠点があります。特性論について簡単に説明してください。
特性論とは、パーソナリティとしての行動傾向を示す「特性」を組み合わせ、ミクロの視点(量的な違い)でパーソナリティを数値化する考え方です。
個人のパーソナリティを比較できますが、特性が複雑になると全体的な人間像をイメージしにくくなる側面があります。
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